【回答】
はい、家事従事者が事故によって傷害を受けて、同居の家族のための家事労働(あるいは介護労働)ができなくなった場合、休業損害が認められます。
そして、家事従事者とは性別や年齢に関係なく、家族のために家事労働に従事している者であれば、主夫であっても家事労働分の休業損害が発生します。
また、お仕事もされながら、同居の家族のための家事もされている兼業主婦の方であっても、年間給与額が女性平均賃金(約380万円程度)より低い場合には、この家事労働分の休業補償が適用されます。
家族のための家事労働を立証するためには、住民票や家族構成表の提出が求められることがあるので注意が必要です。また、パートナーと婚姻をしていなくても、事実婚や内縁関係であることを証明することができれば、家事労働の休業損害は認められます。また、育休中・産休中の事故の場合にも認められます。
休業損害の計算は、女性・学歴計・全年齢平均賃金を基に行われます。具体的な計算方法としては様々な方法がありますが、例えば次の2つの方式があります。
- 一定の割合方式: 休業期間中の家事労働への支障の平均割合を掛け算して算出します。例えば、女性平均賃金賃金約380万円平均賃金を365日で割り、180日の治療期間と40%の家事労働支障率を使用すると、休業損害は約75万円になります。
- 逓減方式: 傷害の内容や回復状況に応じて、支障率を段階的に下げて計算します。たとえば、受傷当初の1か月間や入院中は100%、その後2~3か月間は50%、さらにその後3か月間は30%とするなどの方法があります。
休業損害の計算方法は、事故の状況や個人の状態に応じて変動する可能性があるため、個別の具体的なケースでは交通事故に精通した弁護士に相談することをお勧めします。相手保険会社から「休業損害はない」と説明されたとしても、安易に示談をせず、まずは弁護士にご相談ください。