最近、弁護士藤本が担当した事件で、高松高等裁判所で判決を得たことからご紹介します。
高所から墜落して右手を骨折した、右手に後遺症が残った男性のケースです。
裁判所は、安全に作業をできる環境で高所作業をさせていなかったとして、会社(実際には会社が加入している上乗せの任意労災保険)に対して、(国から支給される労災保険とは別に)約1100万円の損害賠償義務を認めました。
会社側は、相談者の高所作業について不注意があったと主張して、過失減額も主張していましたが、会社側に過失100%が認定された事案でした。
本件は一審裁判所で、不当に低い金額の判決が出たことから、二審高等裁判所に控訴した事案でした。高等裁判所は一審裁判所の判断を、依頼者側に大きく有利に変更した判断を出したことになります。
いくら賠償金をもらったからと言って、健全な体が戻ってくるわけではありません。依頼者の方々は「事故前の体に戻してくれるなら、お金なんていらないんだ」と口を揃えて話されます。多数の被害者の方々側で代理人として、一緒に活動してきた私には、そのお気持はひしひしと感じます。
弁護士は、時間を事故の発生前に巻き戻すことはできません。起こってしまった事故や怪我に対して、法律の枠組みの中で、依頼者が最善の補償を受けられるようサポートことしかできません。これからも、不幸にも労災事故に遭われた方が、せめて最善の金銭的な補償を受けられるよう、被害者に寄り添った活動をして参ります。